落語家の本音
日本で唯一の演芸専門誌が50年かけて集めたここだけの話
「東京かわら版」編集部 編著
ISBN:9784022520227
定価:2970円(税込)
発売日:2024年12月20日
四六判並製 480ページ
昭和の名人から令和の爆笑王まで。半世紀にわたる巻頭インタビューから厳選した、落語家の珠玉の言葉。
柳家小さん
あたしがまだ若い時分にね、師匠連中が「お前、夜よく寝られるか?」てェから、「ええ、よく
寝ます」てェと、「いいなあ、お前たちはよく寝られてなァ」なんて言われたことがあったけどね。自分がその位置に来て、色々と悩んでいる時にぶつかるとね、本当に夜寝ちゃあいられないン。夜中飛び起きて、しぐさをやってみたり、しゃべってみたりね。それで夢ん中で受けるんだ、バーッと。いいくすぐりだなあ、なんて思って、起きて考えてみるとちっとも良くなかったり…(笑)。そのぐらいでなきゃあ駄目なんだ。上手にはなれないン。
桂歌丸
私は楽をしたいから苦しい思いをしているんです。苦しい思いをしないで楽しようなんてそうはいきませんからね。じゃあ、歌丸はいつ楽になるんだと聞かれたら、目つぶった時だ、と答えますがね。それが噺家になった以上、果たさなきゃいけない責任だと私は思ってますからね。
立川談志
一期一会の、その時のフィーリングが見事にできればいいけども、できない場合は無惨な状況で終わる可能性がある。もっともずっとその刃渡りすれすれの芸をしていたわけですけれども。だけどその刃渡りで、見事に渡ったというのが、まあ三度に一度くらいあれば、続けていけるけれども、その都度、転がり落ちるようなことになれば、当然やめるでしょうね。ただ、問題は?やめられるか?って問題なんです。人間の業みたいなものでね。
古今亭志ん朝
生きて、自分がそれをはたして分かりやすく理解できているかどうか、これが一番問題になりますよね。だから逆にね、妙に新しいものに直すよりは、古いまんまの形でした方が、かえって新しい場合もあるしね、それはその都度、その噺に対する自分の解釈のしかたひとつじゃないかしらねー。えー、だから、その昔のまんまこういう風に教わったから、そのまんまってんでは、それこそほんとに現代とギャップが出来ちゃうでしょう。
柳家小三治
おれたちはねェ、金があるのないの、家を建てた建てないのって、そんなことじゃなくて、ただ好きで(噺家に)なったと思ってるんですよ。それを好きでいる限り、どんな暮らしをしてたって、貧しくはない。だから、「芸術家に貧乏はいませんわ」って言葉に嗚咽してしまった。
三遊亭円丈
古典落語は滅びない。滅びてもいいのに滅びないんだ(笑)。農耕民族ですから、毎年同じ事を繰り返すことに意味がある。「笑点」が長寿番組で高視聴率なのもそう。日本人は変わらないものが好きなんです。新作は変わりすぎるからだめなんだ(笑)。
柳家さん喬
やっぱり人の噺は聞かなきゃダメですね。権ちゃん(柳家権太楼)なんかと会やってるとね、聴いてて「なるほどね、こういう風にやりたいわけね」って思う。「権ちゃんさ、あのサゲこういう風にやった方がいいよ」って言ったりすると、あの人素直なところあるから、「それやらしてもらう」って、それからそういうサゲでやってるときありますよ。逆に自分も「あ、今、権太楼入ってる」って思うときあるン。
柳家権太楼
大阪ローカルの「平成紅梅亭」ってテレビ番組のビデオテープを放送後すぐ知人が送ってくれてたの。その中でも仁鶴師匠はめちゃくちゃ面白かった。だから俺の噺には仁鶴師匠の影響もあるんだ。みんな枝雀師匠だと思ってるけど。あの頃は、「時そば」より「時うどん」の方が面白いぞ、なんて向こうの噺がどう演られてるのか分析してた。
柳家喬太郎
「純情日記」が一時、できねえなっていう時はあった。やっぱり変に中途半端に歳取っちゃったからできない。やったら気持ち悪いよねっていう時代。その歳を少し抜けてきたのかな、今またやってもいいのかな的な気がしてきましたよね。
柳家三三
意識した部分が集中して高座で実行出来てる時って楽しいですよ。落語の魅力が最大限発揮されるための作業をしてると、僕の一番悪い癖であるお客の顔色を気にしながらブレるっていう余地が少なくなるんでしょうね。これまでは軸がないから、いい案配で合わせるんじゃなくて、おもねってブレてたわけです。それがちょっと解消されてるんでしょうね。
桂宮治
昨年末の収録の前日に知らない番号から携帯電話にかかってきて、誰だろうって出たら木久扇師匠。「緊張してるのわかるけど、僕も初めての収録の日があったんだよ。先輩とか後輩とか関係ないんだよ、どんどんどんどん来て、みんなで盛り上げていこう」って言ってくださった。泣いちゃいますよね。示し合わせたかのようにその後に電話が鳴って、今度は好楽師匠だったんです。ベロベロに酔っぱらってました(笑)。
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